保育士の処遇改善手当とは?仕組みと自分に届く額
この記事の答え
- 「処遇改善手当」は、園の運営費に含まれる処遇改善等加算を元手に、園が職員の給料に上乗せするお金です。手当の名前や払い方は園ごとに違います。
- 加算は区分1(昇給の元手)・区分2(給料の引き上げ)・区分3(副主任・リーダーの手当)の3つ。2025年度に旧加算Ⅰ〜Ⅲが一本化されました。
- 区分2と区分3を合わせた額の半分以上は、基本給か毎月の手当で払う決まりです。残りは賞与や一時金でもかまいません。
- 園に入る額は、地域・定員・子どもの年齢・職員の平均経験年数で決まります。平均11年までは、経験年数が長い園ほど多く入ります。
お金は、市区町村から園を通ってあなたに届く
処遇改善手当は、国や市区町村が直接あなたに払うものではありません。市区町村が私立の保育所に払う運営費(委託費。国が決める公定価格で計算し、費用は国・都道府県・市区町村で負担)の中に「処遇改善等加算」があり、園がそれを職員の給料に回します。
- 市 市区町村が園に払う子どもの人数×単価×加算率。単価は地域・定員・年齢で、加算率は職員の平均経験年数で決まる
- 園 職員への配分を決める誰に・いくら・基本給か手当か賞与かは園が決め、職員に知らせる(通知 第2の2(5))
- あなた 給料に入る明細では「処遇改善手当」「調整手当」などの名前で出たり、基本給に含まれたりする
なお、市区町村や都道府県が設置する公立の保育所・認定こども園は、処遇改善等加算の対象外です(通知 第1の2。公立の小規模保育などは区分2の一部だけが対象)。公立の保育士の給料は、自治体の給料表で決まります。
区分1・2・3の違い
区分1(基礎分)
- 使いみち
- 勤続年数などに応じた昇給などに充てる(通知 第5の1)
- 加算率
- 2%+平均経験年数(1年ごとに1%、10年以上で12%)
- 明細では
- 手当として別に出るとは限らない
区分2(賃金改善分)
- 使いみち
- 全額を給料の引き上げに
- 加算率
- 6%(平均11年以上は7%)+c(地域区分・定員・年齢で決まる値)
- 払い方
- 基本給・手当・賞与・一時金から園が選ぶ。ただし区分3と合わせて半分以上は毎月
区分3(質の向上分)
- 対象
- 副主任保育士・専門リーダーなど/職務分野別リーダーなど
- 額
- 副主任などは1人月4万円まで、リーダーは原則月5千円
- 払い方
- 基本給か、毎月決まって払う手当
区分3の条件と人数の決まり方は処遇改善の区分3の条件と人数枠で、旧加算Ⅰ〜Ⅲとの対応は2026年度の変更点と旧加算との対応で説明しています。
いくら入る? 同じ規模の園でも、経験年数で違う
全国の私立保育所で多い規模(定員80人。全国の中央値)の園を、令和8年度の単価表で計算しました。違うのは職員の平均経験年数だけです。13年は社会福祉法人の保育所、8年は株式会社の保育所の中央値に近い値です。
定員80人・地域区分「その他」・年齢構成は全国の私立保育所の実際の割合(4・5歳31人・3歳16人・1・2歳27人・0歳6人)・保育標準時間。園の実際の受取額ではなく目安です。
同じ定員でも、平均13年の園には月 199,380円(年に約239.3万円)多く入ります。このうち給料の引き上げに使う区分2の目安は、13年の園が月 約66.4万円、8年の園が月 約59.7万円です。区分3(副主任 4人分・リーダー 2人分)はどちらも月 208,500円です。
毎月の給料で払う分の下限は、13年の園で月 436,083円、8年の園で月 402,853円。これを職員の人数で割ると、1人あたりの目安になります。
5つの質問で、毎月の給料に入っているはずの額が出ます。入れた数字は送信されません。
対象になる人・ならない人
| 働き方・園 | 処遇改善等加算 | 根拠 |
|---|---|---|
| 常勤の保育士 | 対象 | FAQ No.1 |
| パート・非常勤 | 区分1・2は対象(事務・調理なども含む) | FAQ No.1 |
| 派遣 | 対象にできる(派遣元を通じて) | FAQ No.31 |
| 育休を予定している人 | 対象(給与が出ない期間の改善額は0円) | FAQ No.32 |
| 副主任・リーダー | 区分3の上乗せがある(園が区分3をとり、研修を修了または年度内に修了見込みであること) | 通知 第2の3 |
| 公立の保育所・認定こども園 | 対象外(自治体の給料表で決まる。公立の小規模保育などは一部対象) | 通知 第1の2 |
| 認可外・企業主導型の園 | この加算の対象外 | 通知 第1の2(対象は認可の施設・事業だけ) |
この加算の対象は、子ども・子育て支援制度の認可の施設・事業(保育所・認定こども園・幼稚園(新制度)・小規模保育など)です。市区町村や都道府県が独自に上乗せの補助をしていることもあります。
毎月の給料で払う決まり
区分2と区分3を合わせた改善額の2分の1以上は、基本給か、決まって毎月払う手当で払うことになっています(通知 第2の2(2)・第5の2)。残りは賞与や一時金で払ってもかまいません。
そのため、明細の毎月の欄にまったく処遇改善の分が見当たらない場合でも、基本給に組み込まれていることがあります。確かめ方は処遇改善手当がもらえない・少ないときに明細で確かめる場所にまとめました。
処遇改善で引き上げる項目以外の賃金(業績評価で変わるものを除く)の水準は、下げないことが前提です(通知 第5の2。特別な事情の届出をした場合などを除く)。
よくある疑問
パートや派遣でも対象になりますか?
区分1・2は、保育士だけでなく事務・調理などを含め、非常勤も含むすべての職員が対象です(FAQ No.1)。実際に区分2を誰に配るかは園が決めます(通知 第5の2)。派遣の職員も、派遣元を通じて対象にできます(FAQ No.31)。
育休・産休中はどうなりますか?
育休を予定している人も対象になります。ただし、育休中で給与が出ない期間の改善額は0円です(FAQ No.32)。育休・産休の期間は、有給・無給にかかわらず平均経験年数の計算に含めます(FAQ No.41)。
園に入った額が全部使われなかったら?
年度の終わりに加算額に届かなかった分は、翌年度に一時金などで全額払うことになっています(通知 第5の4)。時期については処遇改善手当はいつもらえるか(3月の一時金)をご覧ください。
この記事の計算の前提
単価・加算率:こども家庭庁「令和8年度 公定価格単価表(保育所)」と処遇改善等加算の通知(令和8年4月8日改正)。子ども1人の月額=単価×(a+b+c)を10円未満切り捨て、年齢ごとの人数をかけて合計。区分2の目安=合計×(b+c)÷(a+b+c)。
定員80人は、全国の私立保育所(通常営業)のうち年齢別の利用者数に記入がある6,400施設の、利用定員の中央値。年齢構成と経験年数(社会福祉法人の保育所 12.6年、株式会社の保育所 7.6年)は、子ども・子育て支援情報公表システムの全国CSVを当サイトが集計した値です。経験年数は施設の自己申告で、加算の計算に使う「全職員の平均」とは定義が違います。
出典(5件)と確認日
- こども家庭庁「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(令和7年4月11日、最終改正 令和8年4月8日)(2026-10-22 確認)
- こども家庭庁「処遇改善等加算に関するFAQ(第7版)」(令和8年5月15日時点)(2026-10-22 確認)
- こども家庭庁「処遇改善等加算について(説明資料)」(令和7年10月6日)(2026-10-22 確認)
- こども家庭庁「令和8年度 公定価格単価表(保育所)」(告示第9号・令和8年4月8日施行)(2026-10-22 確認)
- 子ども・子育て支援情報公表システム(ここdeサーチ)全国施設CSV(当サイトが集計)(2026-10-24 確認・公共データ利用規約 第1.0版)